魚の糠漬け 「鯖へしこ」

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「へしこ」は、但馬(兵庫北部)・丹後(京都北部)・若狭(福井県)などで古くから食されてきた郷土食です。
魚介類を塩で漬け込んだのち、米糠に調味料を加えた糠床に漬け替えて作られる、非常に保存性の高い食品です。

はじめに塩で漬けることで水分が抜け保存性が高まり、抜けた水分と入れ替わるように糠床の旨味が浸透していく。
それにより、へしこ特有の味わいが生まれるのです。

とても塩辛く、糠の風味も濃いため、決して万人受けする食品ではありませんが、旨味が凝縮された独特の味わいは「へしこが一切れあれば御飯が食える!」という【へしこ愛好家】の方々を生み出しています。

御飯・お茶漬けのお供に最適ですし、お酒との相性も抜群。
また、焼いたへしこをほぐして茹でたてパスタと合わせると、これまた絶品です。

サバ1尾を丸々背開きにしていますが、非常に味が濃いので食べられる量は思いのほか少なく、お一人当たり数切れ程度です。
お召し上がりになる分だけ切り分け、糠を落としてから少し焦げ目がつく程度に焼いてお召し上がりください。

残りの分は「糠を付けたまま」冷蔵保存いただくと長期間日持ちがしますが、少しかさばるのと、糠の匂いがどうしても気になります。
お勧めの保存法は、初めにすべて切り身にしてしまい、小分けにラップで密封してしまう方法。
食べたい時に必要な分だけ取り出していただけますし、冷凍する場合も密封することで冷凍焼け(乾燥)が防止できます。

 
製造元…北由商店
原産地…兵庫県美方郡香美町

内容量…サバ背開き1尾
原材料…さば(ノルウェー産)、食塩、米糠、砂糖、味醂粕、本味醂、酵母エキス、発酵調味料、唐辛子、昆布
賞味期限…冷蔵:4か月

「へしこ」に加工される魚介類としては、このサバのほか、スルメイカ、イワシなどが代表的です。
冬の荒天で魚が水揚げされない、あるいは山間部で魚介類の入手が難しい。
現在では流通網や冷凍技術の発達で解消された問題ですが、かつてのこうした事情が生んだ保存食という意味では、糀漬けに相通じるものがあります。

原材料のサバは「ノルウェー産」を使用しています。
しばしば「国産・地物のサバ」で作ったへしこをご所望とのお問い合わせをいただきますが、水揚げが不安定で価格変動が大きく、また脂の乗りが季節によって大きく異なり品質が安定しないという難点があります。
特にへしこでは塩漬けにする段階で水分が大量に抜けるため、よほど脂の乗りが良くないと身がパサパサになってしまうのです。

「へしこ」という風変わりな名前にはいくつかの由来が伝わっていますが、樽に魚を漬け込む様子を「へしこむ」といい、これが転じて「へしこ」になったという説があります。

「へしこむ」の【へし】は「押しつぶす、押さえつける」という意味の【へす(圧す)】という動詞の活用形で、かつて織田信長が所有した「へし切 長谷部」という刀剣にも同じ「へし」という言葉がありますね。
「へしこ」の語源が国宝の刀剣に通じるというのも、非常に興味深い…。